常に予算削減の対象となるアメリカ空軍のA-10CサンダーボルトIIですが、エンジンの大規模な修理を前線の飛行場でわずか5日間で完了させ、新たな神話を追加した模様です。アメリカ空軍が2015年4月24日に発表しました。

イラク上空で空中給油訓練をしていたA-10Cは、エンジン1基に壊滅的な故障が生じ、イラクのアル・アサド基地に緊急着陸しました。アル・アサド基地は、2015年2月にISILに包囲、攻撃された前線の基地です。

A-10Cの損傷を評価して、必要な部品のリストを作成する9名の整備士チームが、アル・アサド基地へ急行しました。チームは必要な部品をアメリカ本土か ら取り寄せたのでは修理に通常1カ月近くかかると見積もりました。しかし、アル・アサド基地が安全な場所ではないため、一刻も早く機体を安全な基地へ飛ば したい第332遠征航空群(332AEG)にとって受け入れられない事態でした。

A-10C、前線の飛行場で大規模な修理を5日間で完了

必要な部品があれば何日で修理が完了するかとの332AEG司令の問いに、整備士は5日間と答え、至急部品が手配されました。また、駐機場からハンガーに 機体を移動させる牽引車がなく、14人の兵士が4万ポンド(約18.1トン)のA-10Cを70ヤード(約64メートル)の坂を押し上げました。

整備に使ったハンガーは以前イラク軍が使用していた廃墟で、照明も電話もFAXやインターネットもない施設でした。遺棄された機材を利用して猛暑の中、シャワーもない環境で、整備士たちは約束どおり5日間でA-10Cを飛行させました。

これまでも地上砲火によりメチャメチャに壊れたA-10が生還したケースがありましたが、充分な整備機材がない場所でも修理が可能であることが実証されました。